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よく読むし大好きなのに、瀬尾 まいこさんの作品は紹介しようとするといつも難しく感じます。独特の設定、個性豊かな登場人物、ユーモアのある会話。そして、確かに温かいはずなのに、どこか狐につままれたような不思議な読後感。
でも、その “つかめなさ” こそが癖になってしまって、どんな物語が来ても受け止められる気がします。そんな瀬尾さんの作品の中から、特に心に残っている三冊を選んでみました。
第1位 戸村飯店青春100連発
(文春文庫)
大阪・中華料理店・兄弟
大阪の下町で中華料理店を営む戸村家の兄弟、ヘイスケとコウスケ。家を飛び出して東京で暮らす兄と、店を手伝いながら進路に悩む弟は、離れた一年の中で自分の弱さや家族への思いに向き合います。
戸村飯店には、どこにでもある家族の風景が広がっています。湯気や匂い、軽口まじりの会話が絶妙にツボを押してきて、読み終えるころには、この店の暖簾をそっとくぐりたくなるほど。
読み終えたあと、誰かに「これ読んでみて」と伝えたくなる作品です。
第2位 傑作はまだ (文春文庫)
小説家・息子・同居
引きこもり気味の小説家・加賀野のもとに、生まれてから一度も会ったことのない二十五歳の息子・智が突然訪ねてきます。月に一度の養育費と写真だけでつながってきた二人は、ぎこちないまま同居を始めます。世間知らずな父と、明るく生活力のある息子との日々は、加賀野の閉じた世界を少しずつ変えていきます。
大福の盛り付け方、コーヒーの淹れ方、人との距離の取り方まで。智が伝える “当たり前” はどれも温かくて、読んでいるこちらまで優しい気持ちに。その言葉をまっすぐ受け止めて変わっていく父の姿が本当に愛おしいんです。
名前の読みが気になってルビが欲しくなる場面もありつつ、最後まで夢中で読める物語です。
第3位 僕らのごはんは明日で待ってる (幻冬舎文庫)
恋人・病気・家族
無口で他人に興味を示さない亮太と、明るく思ったことをすぐ口にする小春は、高校の体育祭で “米袋ジャンプ” に出場したことをきっかけに付き合い始めます。性格は正反対ながら、食事を通して少しずつ距離を縮めていきます。しかし大学生になったある日、小春は理由を告げずに突然別れを切り出します。
重たい設定でありながら、二人の独特のテンポの会話が、読み進めるほどに「きっと大丈夫」と思わせてくれます。
中でもお気に入りなのが、自分探しのために葉山くんが参加する “欲張りタイ魅惑の4日間” ツアー。おばちゃんたちとの掛け合いは何度読んでもほっこりして、気づけば自然と笑顔になってしまう名場面です。


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