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一日の終わり、そっとページを開いた瞬間に物語の世界へ連れていってくれる。そんなBL漫画があります。
激しい展開よりも、ゆっくり心がほどけていくような関係性。キャラクターの息づかいや、ふとした仕草に宿る優しさ。初心者でも無理なく入り込めて、読み終えたあとに余韻が残る作品たちです。
ここでは、BLに初めて触れる人でも “物語の心地よさ” から自然と惹き込まれる、やわらかい世界観の作品を紹介します。あなたの新しいお気に入りが、きっと見つかるはずですです。
五十嵐くんと中原くん / イサム
(あすかコミックスCL-DX)
高校生・不良・友達
中学生の頃、伸びきった黒髪に厚底眼鏡という冴えない見た目で、真面目なのに報われなかった中原 冬吾。五十嵐 桜は誰もが羨むリア充で、イケメンの優等生でした。過去を振り払うように、高校デビューで金髪の不良へと “変身” した中原は、思いがけず高校受験に失敗した五十嵐と同じ学校で再会します。かつての優等生は、いまや素行の悪い連中とつるむ存在になっていたのです。
ちょうどこの記事を書こうとしていたとき、映画『メタモルフォーゼの縁側』を観ていたら、芦田 愛菜さん演じるBL好きの女子高生・佐山 うららが、宮本 信子さん演じる市野井 雪にこの作品をおすすめしていて驚きました。「隠れた名作」だと思っていたからこそ、嬉しさと少しの寂しさが入り混じる、不思議な気持ちです。
真っ直ぐで意地っ張りな中原と、愛情深くて嫉妬深い五十嵐。友情から始まった関係が、ゆっくりと恋へと変わっていく。その過程で揺れ動く二人の心に、ページをめくる手が止まらなくなります。
そしてこれは、恋の物語であると同時に、“本当の自分” を見つけていく青春譚でもある。読み終えたあとには、胸の奥に爽やかな風が吹き抜けるような心地よさが残ります。
山田と少年 / 三田 織
(CannaComics) ※性描写あり
社会人・高校生・ピュア
クリスマスの夜、仕事帰りの山田は、泣きながら酔っていた高校生の千尋を助けます。同性に惹かれる自分に戸惑う千尋と、ノンケである山田。年齢も立場も異なる二人が、偶然の出会いをきっかけに少しずつ心を寄せ合い、互いの存在に温かさを見いだしていく物語です。
絵もお話も雰囲気もすべてが優しく、読んでいると胸の奥がじんわりと温まります。大雑把に見えて誠実な山田と、傷つきやすく周囲の視線を気にしてしまう千尋の関係に、思わずどきどきしてしまいます。
本編では、社会人と学生という立場の違いからか、山田が先回りして千尋を受け止める場面が多く見られます。しかし、電子書籍で読める続編『バラのアーチをくぐってきてね』では、二人がより対等な関係になろうとする姿が描かれており、これまで以上に心が温かくなる展開が楽しめます。とても素敵な続編です。
ゴロウジロ! / 糸井 のぞ
(シトロンコミックス)
同居・サラリーマン・無職
ちょっと天然でしっかり者のサラリーマン・ジロウさんと、のんびり王子で面倒くさがりなニートのゴロウさん。ひょんなことから始まった凸凹な同居生活は、日々の中にある小さな幸せや優しさ、そして二人で過ごす時間の楽しさや寂しさをそっと教えてくれます。
ゴロウさんはジロウさんに恋心を抱いていて、意味深な言葉を投げかけたり、一緒にお風呂に入って髪を洗ってもらったり、ジロウさんのほっぺたを触ったという会社の後輩に嫉妬したりと、分かりやすいほど気持ちをにじませています。それなのに、天然なジロウさんにはその想いがなかなか届きません。
それでも強引に踏み込めないのは、ジロウさんに嫌われたくないからです。ふとした瞬間にゴロウさんがこぼす本音は、胸が締めつけられるほど切なくて、二人の距離のもどかしさをいっそう際立たせます。
どうか、この二人にとっての本当の幸せがそっと訪れてくれますように。そう願わずにはいられません。
ニューヨーク・ニューヨーク
/ 羅川 真里茂
(白泉社文庫) ※性描写あり
ニューヨーク・警察官・犯罪
ニューヨーク市警のケインは、同性愛者であることを隠しながら、孤独を埋めるように一夜限りの出会いを求めて夜のマンハッタンをさまよっていました。そんなある日、理想の青年メルと出会い、心の奥で求め続けていた “運命の愛” に気づいていきます。
この作品は雑誌『花とゆめ』で1995年から1998年まで連載されており、当時読者だった私は本当に驚きました。普通の恋愛からファンタジーまで幅広く扱う雑誌とはいえ、対象年齢は中高生以上。まさかここまで濃厚なBLが掲載されるとは思いもしませんでした。
物語は二人の関係だけでなく、ゲイであるがゆえに家族に受け入れられない苦しみ、HIVで同僚を失う悲しみ、サスペンス要素のある事件、さらにはゲイカップルが養子を迎えることで生じる社会的な問題まで描かれています。
正直に言えば、連載当時はあまり好きになれませんでした。しかし大人になってからまとめて読み返したところ、作品の深さやテーマの重みが胸に響き、とても面白いと感じました。
ゴールデン・デイズ / 高尾 滋
(白泉社文庫)
タイムスリップ・身代わり・大正時代
異様なまでに過保護な母親に反発しながら暮らす高校一年生・相馬 光也は、バイオリンと入院中の祖父だけを心の支えにしています。ところが祖父の容態が急変し、病院へ駆けつけた矢先に大きな地震に襲われます。混乱の中で意識を失った光也が目を覚ますと、そこは大正時代でした。彼はそこで思いもよらない出会いと運命に向き合っていくことになります。
若かりし祖父の義光に成り代わった光也に想いを寄せるのが、イタリア人の母と日本人の父を持つ春日 仁です。母親譲りの整った顔立ちに、緑の瞳と赤茶の髪を持つ眼鏡の青年。しかし、四歳で引き取られた春日の本邸では、異国の血を嫌う祖母や一部の使用人から迫害を受けてきました。そんな彼にとって、屈託なく接してくれる慶光の存在はいつだって特別だったのです。
仁が慶光に向ける気持ちが恋なら、光也の想いもまた恋なのだと感じます。優等生で大人びた慶光とは対照的に、不器用でわんぱくな光也。衝突しながらも本音でぶつかり合い、互いがかけがえのない存在へと変わっていく姿に胸が熱くなりました。
のちに訪れる戦争を前に、「光也が生まれる未来を守りたい」と願う仁の強い想いにも心を揺さぶられます。
BLという枠を超えて、本当に良い物語だと感じています。ずっと紹介したいと思っていた作品ですし、文庫版には書き下ろし漫画も収録されているので、ぜひ手に取ってみてほしいです。



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