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小説の中でしか味わえない “架空のごちそう” って、どうしてあんなにも心をつかむんでしょう。
ページをめくるたびにふわりと立ちのぼる香り、登場人物の表情、店の空気感まで鮮やかに浮かんでくるのに、現実には存在しないなんて残酷すぎる。だからこそ、読者は想像の余白に自分だけの味を描き足し、理想のお店を心の中に作り上げてしまうのかもしれません。
この記事では、物語に登場する “食べたいのに食べられない料理” と、もし現実にあったら絶対に行きたい“理想のお店”を、読者目線でたっぷり語っていきます。
[合わせて読みたい]



:ごはん編
BAR追分
BAR追分 / 伊吹 有喜
定食・お酒・常連
新宿三丁目の交差点近く、かつて新宿追分と呼ばれた街の ”ねこみち横丁” の奥に、昼と夜で姿を変える「BAR追分」があります。道が左右に分かれる追分のように、人生の分岐点で人々がふと立ち止まれる場所です。昼は笑顔がかわいらしい女店主がコーヒーや定食を、夜は白髪のバーテンダーが本格的なカクテルとおつまみを供し、二つの顔で訪れる人を温かく迎えます。
昼を切り盛りしている佐々木 桃子さんの料理は、揚げ物はカラッと軽やかに、煮込みはしみじみと味が染み込み、どれも“知っているのに新しい”おいしさがあります。手間ひまを惜しまない丁寧な仕事が、ひと皿ごとに感じられます。
彼女は明るく話しやすい人柄で、常連になれば「今日は何が食べたいですか」と気さくに声をかけてくれそうな温かさがあります。気づけば何度も足を運びたくなる、そんな居心地のよさが漂っています。
ばんめし屋
最後の晩ごはん / 椹野 道流
定食・がっつり・幽霊
芦屋警察署とカトリック芦屋教会のあいだにある、夜だけ開く定食屋「ばんめし屋」。開店は日暮れ、閉店は始発が動き出す頃。メニューは日替わり定食の一種類のみ。アルコールも控えめで、料理一本で勝負しています。その日の仕入れで決める定食は、旬やお得な食材を使った、しっかり食べられて健康にも気を使っています。
給仕を務めるのは、元イケメン俳優の五十嵐 海里。厨房には、ワイルドな店主・夏神 留ニとロマンスグレーの英国紳士・ロイド。三人が醸し出す穏やかで楽しげな空気が、店をいっそう居心地よくしています。
ビストロ・パ・マル
タルト・タタンの夢 / 近藤 史恵
フランス料理・ワイン・謎解き
下町の路地に佇む、小さなフレンチ「ビストロ・パ・マル」。カウンター7席とテーブル5つだけの店内には、フランスの田舎で親しまれてきた家庭料理の香りがふわりと漂っています。見た目を飾るよりも素材の持ち味をまっすぐに生かした料理は、どこか豪快で、どこか懐かしく、フランス料理に馴染みがなくても気負わずに“おいしい”に手を伸ばせる温かさがあります。
寡黙な三舟シェフの背中には、職人の気配が宿っています。もし彼ひとりだけでしたら、少し緊張してしまうかもしれません。でも、気さくで話しやすい副料理長・志村さんが笑顔で声をかけてくれると、店の空気が一気にやわらぎ、まるで常連になったような安心感が生まれます。
:デザート編
スイート・ホーム
スイート・ホーム / 原田 マハ
スイーツ・家族・連続短編集
阪急沿線・宝塚の静かな通りに、赤い屋根とクリーム色の壁がやさしく映える洋菓子店「スイート・ホーム」。扉を開けた瞬間、焼きたての甘い香りがふわりと広がり、まるで家に帰ってきたような安心感に包まれます。
ホテルで腕を磨いたパティシエの父は、素材の機嫌を確かめるように、ひとつひとつの菓子に丁寧な手をかけます。明るい母の声、姉妹のあたたかな気配が重なると、ショーケースのケーキは “商品” というより、「今日をそっと励ましてくれる、小さなごほうび」へと変わっていきます。
ファボリ・ダンジュ
つばさものがたり / 雫井 修介
スイーツ・天使・パティシエール
白を基調とした「ファボリ・ダンジュ」は、病を抱えながらも “自分の店を持ちたい” という夢を追い続けたパティシエール・君川 小麦が、家族と力を合わせて開いた小さな菓子店です。店名には、“天使の好物” “天使のお気に入り” という、彼女らしい優しい願いが込められています。
看板商品は、ホワイトチョコレートの翼にサイコロ状のシフォンケーキを詰め込んだ、店名と同じ「ファボリ・ダンジュ」。天使の羽を模したそのケーキは、小麦が最期まで抱き続けた夢を形にした、象徴のような一品です。
今では、小麦からレシピを託された義理の姉・道恵が、その味と想いを丁寧に守り続けています。
西洋菓子店プティ・フール
西洋菓子店プティ・フール / 千早 茜
スイーツ・菓子職人・パティシエール
「西洋菓子店プティ・フール」は、下町の商店街の一角にひっそりと佇む小さな菓子店です。店を切り盛りするのは、昔ながらの味を守り続けてきた菓子職人の祖父と、フランスで修行を積んだパティシエールの亜樹。
亜樹が作るのは、酒や香料、時にはスパイスを大胆に効かせた、繊細で見た目にも華やかなスイーツ。思わず足を止めてしまうような存在感があります。一方で、祖父の手から生まれるのは、ほっと肩の力が抜けるような、昔ながらの素朴なシュークリーム。子どもの頃から変わらない安心の味です。
二人の作る菓子はまるで対照的なのに、どちらもこの店に欠かせない大切な味。だからこそ、亜樹には祖父の味も受け継ぎながら、自分らしい菓子作りも続けていってほしい。そんな願いが自然と湧いてきます。変わらない温もりと、新しい風。その両方が、この店の魅力をこれからも支えていくのだと思います。



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