笑って泣いて癒される!心が満腹になる料理小説!【おすすめ5選】

小説

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ここ最近、書店でもネットでも料理小説を目にする機会がぐっと増えた気がします。思わず「皆、お腹が空いているの?」と笑ってしまうほどの盛り上がりです。

しかもその広がりは人にとどまらず、動物、妖、そして異世界にまで及んでいるのだから驚きです。

物語のトーンも、くすっと笑えるものから胸が温かくなるものまで幅広く、選ぶのに迷ってしまいますね。

 

[合わせて読みたい]

 

北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし
/ 江本 マシメサ
(単行本)

北欧・狩猟・スローライフ

極寒の地を治める伯爵リツハルドが、鋭い眼差しをもつ元軍人ジークリンデに一目惚れし、思わず求婚してしまいます。一年間のお試し婚で、狩猟や保存食作り、湖での釣りなど自給自足の暮らしを共にしながら、奥手な二人が少しずつ距離を縮め、正式な夫婦を目指して歩み寄っていきます。

究極のスローライフ。日々の暮らしの延長線上に、ふと料理が顔をのぞかせるような物語で、厳密に言えば料理小説とは言い切れないのかもしれません。

しかし、描かれる料理がどれも驚くほど美味しそうで、読んでいるうちに “これはもう料理小説でいいよね” と頷いてしまいます。

四巻分をまとめた総集編のような一冊があり、私はまずそちらから手に取ったのですが、読み終える頃には「本編をちゃんと味わいたい」という気持ちがむくむくと湧いてきました。

漫画版は小説よりあっさりめですが、テンポの良さと面白さで一気に読めちゃいますよ。

 

放課後の厨房男子 / 秋川 滝美
(幻冬舎文庫)

高校生・部活・イベント

運動部が主役の男子校で弱小の包丁部は存続の危機に立たされています。料理上手な部長・翔平と、話術に長けた副部長・颯太に支えられ、元陸上部で今はエースの大地が新入生勧誘に挑みます。がっつり飯と伝統の豚汁に魅せられた男子高校生たちが、食欲と青春を全力でぶつけ合っていきます。

少数精鋭、言いかえれば、いつも人数がぎりぎりで廃部寸前。それだけに、部員同士の距離が自然と近くなっていきます。

日常というより、新入生歓迎会や文化祭などのイベントに向けて、仲間と一緒に何かを作り上げていく物語。準備の途中で一悶着あったり、思わぬ困難にぶつかったりして、いつも騒がしく走り回っています。

この作品はシリーズで、高校、大学、社会人と舞台は変わっても、単純で素直で一生懸命な大地のキャラクターがやっぱり好き。

ただ残念なのは、登場人物や出来事に気を取られてしまって、作中に出てくる料理の記憶があまり残らないこと。きっと丁寧に作っているはずなのに……。

 

弁当屋さんのおもてなし / 喜多 みどり
(角川文庫)

北海道・お弁当・ほっこり

失恋の痛みを抱えたまま札幌へ転勤した千春は、仕事帰りに立ち寄った路地裏の小さなお弁当屋『くま弁』で、願いを形にする “魔法のお弁当” を作る店主・ユウと出会います。彼の温かな気遣いと、本当に食べたいものをそっと差し出してくれるお弁当が、凍った心をゆっくり溶かしていきます。おなかも心も満たされていく、優しさあふれる北国のお弁当物語です。

お弁当がテーマの物語ってだけでもちょっと珍しいのに、“食べる人に寄り添う魔法のお弁当” なんて名前まで付いていて、読んでいるこちらの期待値まで上がってしまいます。その期待を軽々と超えてくるユウの観察力と気遣いには本当に驚かされました。

「くま弁」に通ううちに、千春も自然とお弁当作りに巻き込まれていき、ユウとの距離が少しずつ縮まっていく様子がとても微笑ましい作品です。

こちら、漫画もありますよ。

 

エミリの小さな包丁 / 森沢 明夫
(角川文庫)

祖父との同居・魚料理・自給自足

信じていた恋人に裏切られ、仕事もお金も居場所も失った25歳のエミリは、十年以上疎遠だった祖父の大三の家へ身を寄せます。荒んだ心を抱えながらも、丁寧に食事を作る祖父の姿に触れるうちに、少しずつ心がほどけていきます。人との関わり方や物事の受け止め方が変わり、家族との関係にも一歩踏み出そうとします。

寡黙な大三おじいちゃんとエミリが並んで台所に立つシーンは、読むたびに胸がふっとゆるむような温かさがあります。

舞台は少し寂れた漁村で、二人が作るのはいわゆる “漁師メシ” 。海の近くに住んでいないと、材料をそろえるのも、同じ味を再現するのもなかなか難しいですよね。

この物語の魅力は、料理そのものよりも、二人の間に流れる静かで優しい時間にあります。たとえ同じ料理を作れなくても、エミリが感じたあの穏やかな癒しは、きっと読む人の心にもそっと寄り添ってくれるはずです。

 

こぐまねこ軒 自分を人間だと思っているレッサーパンダの料理店 / 鳩見 すた
(マイナビ出版ファン文庫)

一ノ関は後輩の二宮に呼び出され、理由もわからぬまま山奥の『西洋料理店 小熊猫軒』へ向かいます。そこで迎えてくれたのは、自分を人間と思い込むレッサーパンダのコタローさんでした。あたたかな料理に心をほぐされた二宮は、抱えていた思いを少しずつ語りはじめます。料理が人と人をそっとつなぐ、“もふもふ” 癒しの連作短編です。

言葉を持たないコタローさんは、仕草と行動だけでお客の心に寄り添います。その小さな体からは想像できないほど、料理は手間暇を惜しまない本格派。悩みを抱えた人たちは、彼の作る温かな一皿に救われ、いつの間にか胸の内を打ち明けてしまうのです。

そして、彼がなぜ一匹で店を守り続けているのか…。その理由を知った瞬間、思わず抱きしめたくなるほどの愛おしさが溢れます。

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