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この記事は一か月間に読んだ本を簡単な感想と共に紹介しています。あくまで個人の意見なので作者の意図やあなたと違ったとしても気にしないでくださいね。
本選びの参考になれば嬉しいです。
水を縫う / 寺地 はるな
(集英社文庫)
男子高生・刺繍・姉の結婚
手芸好きで浮きがちな高校一年生の清澄は、かわいいものが苦手な姉・水青のためにウェディングドレスを手作りしようと決意します。しかし母・さつ子の反対にあいながらも、清澄は姉の幸せを願って一歩を踏み出していきます。
水を縫うなんて比喩だと思っていたのに、本当に “水を縫って” いて思わず笑ってしまいました。
ドレス作りを通して、家族の知らなかった一面に触れたり、新しい挑戦に胸が高鳴ったり、好きなことを好きだと言える自分に少しだけ自信が持てたり。針を進めるたびに、布だけでなく清澄たちの関係まで少しずつ形になっていくようでした。
完成した瞬間、私が作ったわけではないのに、ふっと肩の力が抜けて、長い旅が終わったような安堵がありました。きっと “誰かの大切なものを一緒に育てた時間” の重みだったのだと思います。
星降る王国のニナ 14 / リカチ
(BE・LOVEコミックス)
ファンタジー・王宮・不思議な力
星の民の手がかりを求めてセトと幽玄の谷へ向かったニナは、そこでアズールの黒い決意を知ります。変わりゆく彼に戸惑いながらも、ニナは彼の「本当」を見つけ出すと心に誓います。一方、彼女を見守ってきたセトも、自分がそばにいる意味を見つめ直し始めます。
主人公ニナをはじめ、主要人物たちがそれぞれの分岐点に立っている感じがして、これからどんな出会いがあるのか楽しみです。ただ、これまでのキャラが濃かったからといって、少年漫画みたいに急に “化け物級” の存在が増えていく展開にはなってほしくないですね。この作品らしい、人間味のあるドラマが続いてほしいと思います。
アニメも観てみたのですが、アズールの腹違いの弟・ムフルムがとても可愛らしくて印象に残りました。
五十嵐くんと中原くん 1~6
/ イサム
(あすかコミックスCL-DX)
BL・高校生・ヤンキー
高校デビューで無口な一匹狼を演じる二年E組の中原 冬吾は、元引きこもりという過去を隠して学校生活を送っています。不真面目だが明るく人気者の二年F組五十嵐 桜とは接点がないはずでしたが、ある出来事をきっかけに二人は行動を共にするようになります。距離が近いようで遠い二人の関係が、少しずつ変わり始めます。
意地っ張りな中原と、愛情深くてちょっぴり嫉妬しがちな五十嵐。少しずつ歩み寄り、惹かれ合っていく過程がとても丁寧に描かれていて、読むたびに胸が温かくなります。
ただ、五十嵐はタバコを吸いすぎていて、読んでいるこちらが心配になるほど。身体の中が真っ黒になっていそうなので、できれば禁煙してほしい…そんな気持ちも抱きつつ、それでも何度も読み返したくなるほど大好きな作品です。
その思いを込めて感想を書きました。
凍える島 / 近藤 史恵
(創元推理文庫)
サスペンス・無人島・連続殺人
ひどく蒸し暑い夏、喫茶店〈北斎屋〉店長の野坂 あやめは、常連客ら八名と瀬戸内海の無人島・S島を訪れます。静かな休暇のはずが、翌日に密室で刺殺体が見つかり、連続殺人が始まります。霧に閉ざされ逃げ場のない島で、疑念と恐怖が一行を追い詰めていきます。
展開が二転三転し、犯人の正体が気になって思わず一気読みしてしまいました。真相を知ったあとに振り返ると、歪んだ人間関係が引き起こした、なんとも切ない事件だったのだと胸に残ります。
女の園の星 4 / 和山 やま
(FEEL COMICS swing)
ギャグ・女子高・混沌(カオス)
夏休みでも星先生たちは変わらず出勤し、職員室には特別な空気が漂います。小林先生が見知らぬ少年を連れてきたり、生徒が私服で訪れたり、卒業アルバム撮影が始まったりと小さな非日常が満載です。
数学教師三人の集合写真を見て、思わず吹き出してしまいました。一人ずつでもおかしいのに、三人そろった瞬間に一気にカオスが加速するあの感じ。アクセサリーや服のセンスも独特で、「どこで買ったの…?」とツッコミたくなるほどです。
何とも言えない “意味不明さ” を絶妙なバランスで操れる和山 やまさんは、本当に天才だと思います。ただ、不思議と私が心から好きになれるのは、この作品だけなんですよね。
混沌の中に、なぜか安心感がある。そんな唯一無二の空気がたまらなく好きです。
南方署強行犯係 狼の寓話 / 近藤 史恵
(徳間文庫)
刑事・童話・DV
夢だった刑事課に配属された會川 圭司は、初現場での痛恨のミスにより捜査班へ異動させられます。そこで出会ったのは、クールで勝気、変わり者と噂される女性刑事・黒岩でした。厳しい指導に戸惑いながらも、會川は黒岩と共に夫殺害事件に挑みます。失踪した妻の行方を追う中で、彼女が抱えていた事情が少しずつ明らかになっていきます。
新米刑事・會川 圭司のまっすぐさや、彼を支える黒岩との信頼関係、そして圭司の家族の温かさに自然と好感が持てました。物語の合間に挿入される童話はどこか不気味で、読んでいて背筋がひやりとしますが、その対比が物語全体の緊張感を高めています。
展開はまるでドラマを見ているようにテンポよく進み、最後まで読みやすく引き込まれました。
セクシー田中さん 8 / 芦原 妃名子
(フラワーコミックスα)
ベリーダンス・女性の自立・恋愛
婚活中のOL朱里は、経理部の地味な田中さんが、夜は妖艶なベリーダンサーとして踊るという秘密を知ります。ずっと片想いしていた既婚者・三好とキスしてしまった田中さんは動揺しますが、朱里に背中を押され、見合い相手と話が進んでいた笙野の混乱をよそに、三好とつきあう決意を固めます。
ページを捲るたびに「もうすぐ終わってしまうのか」と胸が締めつけられました。未完のまま最終巻を迎えたことも、そしてドラマをあれほど楽しみにしていたのに、芦原 妃名子さんがあのような形で旅立ってしまったことも、どちらも受け止めきれないほど悲しい出来事でした。
物語の最後に、編集の方が「本来なら芦原さんがどのように物語を進めるつもりだったのか」を丁寧に綴ってくださっていて、ほんの少しだけ救われる思いがしました。
もう続きを読むことは叶わないけれど、作者が紡ごうとしていた未来が確かにそこにあったのだと思えるだけで、心が温まる瞬間がありました。
本当に惜しい方を亡くしました。彼女の作品に触れられたこと自体が、ひとつの幸運だったのだと、今はしみじみ感じています。
アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり 13 / 荒井 ママレ
(ゼノンコミックス)
薬剤師・病院・知識
ADHDの症状が治まらない息子を心配し、強い薬を求める母親に対し、みどりは少年の胸に隠れた思いに気づき寄り添います。一方、同僚との実力差に焦る薬剤師・相原は、複雑に絡む腎臓病治療と向き合い、自身の成長を模索していきます。
薬剤師という、ひとつの判断が命に関わるほど重大な責務を担いながら、現状にとどまることなく日々学び続け、前へ進み続けている葵たちの姿には、いつも胸を打たれます。積み重ねた知識があるからこそ救える病状があり、助かる患者さんが確かに増えていきます。
真似したくても簡単にはできないほど大変な毎日の中で、それでも笑顔でいられる強さを持っていることが、本当にすごいと思います。その姿勢に、心から尊敬の気持ちを抱きます。
正反対なわたしたち 3 / 夏奈 ほの
(comic POOL)
恋愛・犬・ほのぼの
ポメラニアンや柴犬、ロットワイラーにパグと、にぎやかに増える仲間たちとの日常がほほえましく描かれます。千遥は犬友の聖貴に誘われ、柴犬が働く旅館へお泊まりすることに。特別な時間を過ごし互いを意識し始めた矢先、謎めいたカメラマンとパグのモデル犬が現れ、物語は新たな展開を迎えます。
登場人物が増えるたびに、気づけば犬の数も増えていきます。マルチーズ好きとしては、そろそろ出てこないかなと密かに期待しているのですが、門十郎と同じ小型犬だから難しいでしょうか。
そして、茶子が飼っている柴犬のアニキ(本名レオナルド)。年齢を重ねているせいか、登場するたびに「大丈夫だよね」と胸がざわつきます。どうか物語の中でも、現実と同じように、ゆっくりゆっくり長生きしてほしい存在です。

今月のおすすめは、
芦原妃名子さんの『セクシー田中さん』です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。また、来月の記事でお会いしましょう!



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