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「えっ、小説でしょ?やっぱり本物には敵わないよ。」なんて思っている方はもったいない!
なぜなら主人公の勝利への執着、ライバルに対する羨望や嫉妬などが余すことなく描かれているからです。
その展開はハラハラドキドキ、ときには涙しながら最後の瞬間まで目が離せません。そして押し寄せる何とも言えない充実感や爽快感に満たされましょう。
また、スポーツを通して得られる爽快感や達成感を味わいたい、努力が報われるのを見てみたいという方にも必見です。
風が強く吹いている / 三浦 しをん
(新潮文庫 全一巻)
蔵原 走は陸上で鍛えた足を武器に万引きを起こし夜の道を走っていました。自転車で追いかけてきた清瀬 灰二に「走るの好きか?」と訊かれ、連れてこられたのは格安学生寮の竹青荘。
漫画オタクの美形、運動経験のない黒人、もてることを夢見る瓜二つの双子、争いごととは無縁な好青年、司法試験合格済みの秀才、ヘビースモーカーな25歳、就職活動に勤しむクイズ王が住んでいます。
蔵原も含めた彼らに清瀬が、「ここにいる10人で箱根駅伝を目指す」と高らかに宣言します。
設定の無茶ぶりもいいところで、本当に陸上をやっていた人にはツッコミどころ満載だと思います。しかも練習に耐えれるのか?チームとして上手くやっていけるのか?とにかく心配の種が尽きません。
それでも困難を乗り越えチームとして絆を深めていく彼らに、最後には心の底から応援したくなります。
本物の箱根駅伝がテレビで中継されると、ここは誰それが走った場所だと思ってしまいますよ。
DIVE!! / 森 絵都
(角川文庫 全二巻)
水泳の飛び込み競技を舞台にしたスポ根ものです。
平凡な中学生の坂井 知季が通うクラブは存続の危機に突き付けられていました。救う方法はひとつだけ、この場所からオリンピック選手を出すことです。
新しく採用されたコーチと出会い、才能を開花させ自分の長所を伸ばしていく知季。
以前のコーチが彼に能力を見抜けなかったと謝るシーンがあるのですが、誰に出会うのかで自分の運命が決まってしまうのは残酷だと思いました。
そして彼同様に目を引くのは、富士谷 要一や沖津 飛沫などの魅力あふれるライバルたちの存在です。
まるで自分が観客になって観ているかのように、大会で選手が水に飛び込んだ後の余韻が半端ありません。
この物語はじりじりと焼けつくようなプールサイドを連想させるので、夏の暑い日に読みたくなります。
風の向こうへ駆け抜けろ / 古内 一絵
(小学館文庫 全二巻)
新人女性騎手・芦原 瑞穂が配属されたのは「藻屑の漂流先」と揶揄される弱小厩舎。
調教師や厩務員たちも過去に問題を起こした人ばかりで、そんな厩舎にいい馬がいるはずはありません。
負けて当然だと思っている彼らに、老齢で満足に走ることが出来ない馬・ツバキオトメと騎乗した瑞穂の「勝ちたい!」という気持ちが火をつけます。
虐げられて傷ついた馬・フィッシュアイズを迎え、地方競馬から中央競馬、そしてG1レース桜花賞へと挑戦!
登場人物と同様に馬たちにも個性があり、騎手である瑞穂と衝突したり認め合ったり目が離せません。
私のお気に入りは、人にとっても馬にとってもキーパーソンのような存在のツバキオトメで、彼女の行動はいつも何かを変えるきっかけを与えてくれます。
描かれている馬の息遣いや躍動に、本当に馬に乗って風を感じているような感覚に陥ります。
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大きな音が聞こえるか / 坂木 司
(角川文庫 全一巻)
好きな作家さんなので何だろうと思って手に取ってみたらサーフィンでした。
平坦な毎日を持て余していた八田 泳が終わらない波ポロロッカに乗るために、アマゾンに行く壮大な青春成長小説です。
何が凄いって行動力!
たとえ叔父さんが住んでいるからって、高校生がアマゾンに行こうなんて思いつきません。
そしてどんな場所でも自分のやりたいこと(ここではサーフィンですね)を楽しむ姿は見ていて羨ましいです。
外国ならではのノリや考え方、性に奔放なところなどついていけない部分もありましたが、読了後には読んで良かったと思いました。
一瞬の風になれ / 佐藤 多佳子
(講談社文庫 全三巻)
100m、200m、4継(4×100mリレー)、マイル(4×400mリレー)を舞台にした陸上ものです。
高校で陸上を始めた神谷 新二が三年間のすべてを使い走り切ります。
彼は努力の天才で、隣に恵まれた才能を持つ親友がいたとしても、腐ることなくひたむきに取り組む姿勢に好感が持てます。
じっくり丁寧に描かれているため展開が遅めに感じるのですが、主人公の努力が報われる瞬間は最高です。
君と漕ぐ / 武田 綾乃
(新潮文庫nex 全五巻)
両親の離婚で長瀞町に引っ越してきた高校一年の舞奈が、川でカヌーを操る恵梨香と出会い興味を持ちます。
そして彼女と一緒にながとろ高校のカヌー部に入ることになり、大会を目指し頑張ります。
主人公が初心者ということもあり、私もカヌーの知識を身につけながら読めました。
描写がさらっとしているので軽く感じるのですが、それもまた高校生という青春の瑞々しさを感じさせるようで好感が持てます。
ただ登場人物の女子率が高すぎなので、ちょっと違和感を覚えるかもしれません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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