※本ページにはプロモーションが含まれています。
この記事は一か月間に読んだ本を簡単な感想と共に紹介しています。あくまで個人の意見なので作者の意図やあなたと違ったとしても気にしないでくださいね。
本選びの参考になれば嬉しいです。
風の向こうへ駆け抜けろ / 古内 一絵
(小学館文庫)
競馬・女性騎手・挑戦
18歳の女性騎手・芦原 瑞穂は亡き父の志を継いで地方競馬に飛び込みますが、配属先は弱小厩舎です。傷を抱えた調教師や厩務員、虐待されてきた馬・フィッシュアイズとの出会いを通して再生の道を歩みます。努力と絆で厩舎は変わり、桜花賞を目指して数々の試練に挑んでいきます。
はじめての競馬小説で、ちゃんと読めるかなと少し不安もあったのですが、読み進めるほどに「これは運命の一冊だな」と思えるようになっていました。
なかでも心に残ったのが、芦毛の馬・ツバキオトメ。老齢で満足に走れないのに、物語の大事な場面でそっと空気を変えて、瑞穂や厩舎の人たち、フィッシュアイズの意識まで動かしてしまう存在感が本当に印象的でした。
馬の厳しさも優しさも、そばにいてくれる愛おしさも、全部この物語に詰まっていて、読み終えたときには前よりもっと馬のことが好きになっていました。
はなものがたり 1~3 / schwinn
(MFコミックスフラッパーシリーズ)
年配の女性・美容・LGBT
長年連れ添った夫を亡くしたはな代と、独り身で化粧品専門店を営む芳子。まったく異なる人生を歩んできたふたりは、おばあちゃんになった今だからこそ出会い、少しずつ惹かれ合っていきます。
最初はメイク系の話だと思っていたのですが、実際は高齢女性同士の恋愛が描かれていて驚きました。何も知らずに全巻を手に取ったものの、意外性も含めてとても楽しめました。
その一方で、美容・恋愛・大学とテーマが多岐にわたるため、もう少し焦点を絞って描かれていたら、より深く味わえたかもしれません。
スキップとローファー 9 / 高松 美咲
(アフタヌーンコミックス)
高校生・青春・日常
地方から東京の名門校へ首席入学した美津未は、勉強は得意でも都会の学校生活には不慣れです。天然でまっすぐな彼女は、気づかぬうちに周囲を変えていきます。2年生でクラスが離れても、この夏は一度きり。仲間と美津未の地元へ向かいます。
気づけばもう9巻。高校2年の夏休みという節目に入り、物語もそろそろ折り返しなのだと実感します。美津未が「冬には受験モードになる」と話すシーンに、なんだかしんみりしてしまいました。
終わってほしくないけれど、だらだら続くのも違う…その微妙な気持ちを抱えながら、次の巻を楽しみにしています。
さくちゃんとのぞみくん 1~2 /KUJIRA
(it COMICS)
片想い・思春期・母親のしがらみ
男の子のようにふるまう朔は、小6の頃から長髪の少年・希に想いを寄せています。好きでもない相手と付き合っては別れることを繰り返す希に届かない気持ちを抱えつつ、高3の春についに告白します。
体の成長とともに揺れ動く心情や、二人の関係が少しずつ変わっていく様子が丁寧に描かれていて、展開はゆっくりめなのに、そのもどかしささえ愛おしく感じました。
作者のKUJIRAさんの絵が好きです。
あの日、君は何をした / まさき としか
(小学館文庫)
ミステリー・殺人・母と息子
水野 いづみは、息子・大樹が連続殺人事件の容疑者と誤解され事故死したことで、平凡な日常を失ってしまいます。15年後、新宿で若い女性が殺害され、不倫相手の百井 辰彦が失踪します。彼を探す母・智恵と刑事たちの捜査が進む中で、二つの事件を結ぶ真相が明らかになっていきます。
イヤミスの部類に入るので読後感は決して良くなかったものの、真相に立ち向かう三ツ矢と田所の刑事コンビが魅力的で、ページをめくる手が止まりませんでした。
続巻を購入するかは悩ましいところですが、あの二人の行く先をもう少し追いかけてみたい気持ちも残っています。
香君 上下 / 上橋 菜穂子
(単行本)
ファンタジー・並外れた嗅覚・少女
人並外れた嗅覚を持ち、植物や昆虫の声を香りとして聞く少女アイシャは、旧藩王の末裔ゆえに命を狙われ、ウマール帝国へ逃れることになります。神郷からもたらされたオアレ稲で栄える国には、香りで万象を知る活神〈香君〉が存在します。匿われた先で、アイシャはその香君と出会い、運命が動き始めます。
期待が大きい作品ほど、いちばん良いコンディションで読みたくてつい積んでしまうのですが、これは半年ほど置いていたのに、ふと無性に読みたくなって手に取りました。
読み始めてまず圧倒されたのは、容赦のない虫の描写です。ページをめくるたびに鳥肌が立つほど生々しく、虫が苦手な人にはかなり厳しいだろうなと感じるほどでした。
物語はファンタジーに分類されると思うのですが、明治期の北海道で実際に起きたイナゴ大発生の歴史を知っている人なら、「ああ、こんなこと本当にあったよな」と既視感を覚えるかもしれません。
無駄な場面が一つもなく、すべてが物語の必然として繋がっていく構成は見事で、読み応えも十分。積んでいた時間すら、読後には必要な熟成期間だったように思えてしまうほどでした。
祈祷師の娘 / 中脇 初枝
(ポプラ文庫ピュアフル)
祈祷師・中学生・自分探し
祈祷師の家に育った春永は、両親と血がつながらず霊能力もないことに悩んでいます。中学校での人間関係や霊能力を持ってしまった少女との出会い、実の親を訪ねる小さな旅を通して、春永は自分らしさを見つけていきます。
最初は少し怖い話なのかなと思っていたのですが、読んでみるとまったくそんなことはありませんでした。
むしろ作者さんがあえてさらっと描き切っているおかげで、物語全体がふんわりと優しい空気に包まれています。
東京すみっこごはん / 成田 名璃子
(光文社文庫)
連作短編・料理・多様化
商店街の脇道にある古びた一軒家は、年齢も境遇も異なる人々が集う“共同台所”です。いじめに悩む女子高生や婚活中のOL、人生に迷うタイ人、秘密を抱えたアラ還男性らが手作り料理を囲み、交流を通して心をほどいていきます。
ずっと気になっていたのに手を伸ばせずにいた作品を、ようやく読むことができました。読み始めたら止まらなくて、通勤電車で降りる駅を乗り過ごしてしまうほど夢中に。
巻数が多いので秘密の部分は続巻へ続くのかと思っていましたが、この1冊で気になっていた部分がすっきり解決していて、読後の満足感もたっぷりでした。これは続きも揃えたくなりますね。

今月のおすすめは、
古内 一絵さんの『風の向こうへ駆け抜けろ』です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。また、来月の記事でお会いしましょう!



コメント