2024年06月の読書記録【小説・漫画】

読書記録

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この記事は一か月間に読んだ本を簡単な感想と共に紹介しています。あくまで個人の意見なので作者の意図やあなたと違ったとしても気にしないでくださいね。

本選びの参考になれば嬉しいです。

 

ひろいもの / 山本 甲士
(小学館文庫)

連作短編・ひろいもの・主人公の成長

人生につまずいた人々が、偶然の「ひろいもの」をきっかけに自分を見つめ直し運命を変えていく物語です。セカンドバッグやサングラス、警察手帳など、思いの宿る道具を拾った瞬間から、彼らの世界は静かに動き始めます。五つの物語がオムニバス形式で交差しながら、再生への道のりを丁寧に描いていきます。

全体的に読みやすく落ち着いた作風で、展開はある程度読めるのに、それでも面白い。そんな不思議な魅力があります。なかでも、一作目『セカンドバッグ』と三作目『バッジ』は特に心に残りました。

 

フラダン / 古内 一絵
(小学館文庫)

高校生・フラダンス・東日本大震災

高校2年の辻本 穣は、押しの強い澤田 詩織に誘われ、気乗りしないまま気乗りしないままフラダンス愛好会に入ります。帰国子女の転入生・柚月 宙彦や、気になる同級生・林 マヤの存在も後押しとなり、個性豊かな男女混合チームが誕生します。東日本大震災から五年後の福島を舞台に、彼らは慰問活動に真剣に取り組み、「フラガールズ甲子園」優勝を目指しますが、仮設住宅でのフェス参加を通して現実と向き合うことになります。

仲間と困難を越える姿が丁寧に描かれ、読み終えたあとに温かさが残る良作でした。

 

ミナトホテルの裏庭には / 寺地 はるな
(ポプラ文庫)

ホテル・祖父の依頼・恋愛

木山 芯輔は祖父に頼まれ、大正末期に建てられた「ミナトホテル」の裏庭で鍵探しをすることになります。金一封につられて訪れたその宿は、どこか影を抱えた「わけあり」の客ばかりが集う不思議な場所でした。さらに失踪した看板猫まで捜す羽目になり、戸惑いながらも人々の優しさや秘密に触れていきます。

主人公・芯輔が感情をあまり表に出さない性格のため物語は淡々と進むのですが、不思議と物足りなさはなく、むしろ登場人物同士のほどよい距離感が心地よく感じられました。

ホテルの特異性や、現経営者・湊 篤彦の生い立ち、芯輔の同僚・花岡さんとの関係など、やや情報量は多めではあるものの、全体の雰囲気が好みだったこともあり、読後には満足感が残りました。

 

森崎書店の日々
続・森崎書店の日々 / 八木沢 里志

(小学館文庫) 

続・森崎書店の日々 / 八木沢里志

古書店・失恋・主人公の再出発

貴子は恋人に「他の女性と結婚する」と突然告げられ、深い絶望の中で泣き暮らす日々を送ることになります。職場恋愛だったため会社も辞めざるを得ず、恋も仕事も同時に失ってしまいます。そんな折、変わり者として知られる叔父サトルから連絡が入り、「神保町の森崎書店で暮らしながら手伝ってほしい」と頼まれるのです。

久しぶりに読み返しましたが、やはり何度読んでも心をつかまれる物語で、きっとまた手に取ってしまうと思います。

 

みかんとひよどり / 近藤 史恵
(角川文庫)

ジビエ料理・狩猟・ミステリー

潮田 亮二は猟で遭難し、無愛想な猟師・大高に助けられます。ジビエ料理の夢を抱く潮田は、大高の獲物を店で扱いたいと願いますが断られてしまいます。それでも個性的で自分に正直な人々と関わる中で、潮田は少しずつ前へ進み、自分の生き方を見つめ直していきます。

ジビエ料理が美味しい、というだけの物語ではありませんでした。

シェフと猟師の間に芽生える友情、生きている命をいただくことへのそれぞれの価値観。後書きにあたる坂木 司さんの解説を読むと、その深さに思わずうなずいてしまいます。

物語には、フレンチシェフ・潮田が飼うイングリッシュ・ポインターのピリカと、猟師・大高が罠にかかっていたところを助けた猟犬マタベーが登場します。この二匹が本当に愛らしくて、彼らだけをずっと眺めていたいと思うほどです。

 

ホテル・メッツァペウラへようこそ 5
/ 福田 星良
 (HARTA COMIX)

フィンランド・ホテル・冬

ラップランドの小さなホテルで迎える“クリスマスから極夜の季節”を舞台に、アードルフの過去、ヤーナの来訪、ジュンの成長が交差する巻です。

アードルフの昔の恋人登場。子供たちが出てきて賑やかなのもいいけど、たまにはしっとりなのもいいですね。まるで映画を観ているようです。

 

Artiste 10 / さもえど 太郎
(BUNCH COMICS)

フランス・レストラン・人間関係

ジルベールがマルコの故郷マントンで夏の休暇を過ごし、家族や街の温かさに触れながら少しずつ心を開いていきます。パリに残った仲間たちのエピソードも丁寧に描かれ、特にノアの葛藤が印象的です。大きな事件は起こりませんが、登場人物それぞれの感情が静かに揺れ、読後に優しい余韻が残る巻となっています。

ジルベールマルコの絆は日ごとに強くなるのに、エルザの恋心だけは足踏みを続けている。どうして彼女の想いだけが、前へ進めないのだろう。

 

 

今月のおすすめは、

近藤 史恵さんの『みかんとひよどり』です。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。また、来月の記事でお会いしましょう!

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