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『本は日常』にご訪問ありがとうございます。
今回、紹介する作品はシリーズ長編小説。ずっと以前に発売されたものもありますが、今でも目が離せないぐらいの魅力を持っているので一読の価値ありです。
読みやすくて面白いことはもちろん、完結しているものや切りのいいところで終わっているものを選んでいるので安心して手に取ってくださいませ。
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蒼穹の昴シリーズ / 浅田 次郎
(講談社文庫 現在十五巻まで発売中)
貧家の子・李 春雲(春児)は糞拾いで生計を立てていましたが、家族のために宦官になり、幼い皇帝に代わり政治を行う清朝の最高権力者である西太后に仕えることになります。
歳月がたつにつれ西太后を引退させたい皇帝との間で激しい対立が起こり、この出来事で激動の人生を歩み翻弄されることになる人たち。
「汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう」と、老占い師・白太太に予言を受けた春児の運命は果たしてどうなってしまうのか?
この作品は史実を元にしたフィクションで、西太后など実在の人物も登場するので、どこからどこまでが本当の話なのかと調べたくなります。
もちろん春児は架空の人物なのですが、晩年の西太后に仕えた小 徳張の逸話を取り入れてるみたいです。彼も物語の春児みたいに素直で可愛くて頑張り屋で、そして優しすぎたのでしょうか?
野望が渦巻く宮中では、春児は稀有な存在なのですが、人に恵まれ成功していくさまは感慨深いです。
それは困っている者に対して自分を顧みず手を差し伸べる彼の人徳から生まれたもので、尊さを感じずにはいられません。
中国の歴史や政治的要素など見どころはたくさんありますが、私はやっぱり春児でした。
「蒼穹の昴シリーズ」は第二部以降になると主人公が変わってしまうので、まずはこの第一部を読んでから続きを読むか決めればいいと思います。
図書館戦争シリーズ / 有川 浩
(角川文庫 全六巻)
風紀や人権を乱す本を排除するために武力行使も問わない良化隊と、それに対抗する図書隊の激しい攻防戦。
高校三年生のときに良化隊から大切な本を図書隊員に守ってもらった主人公の笠原 郁は、自分も図書隊員になることを決意します。
本を読む人なら「こんな世界は嫌だ!」と叫んでしまいそうになる設定です。
作者の有川 浩さんが自衛隊が好きなこともあって、図書隊の訓練やメディア良化隊との戦闘シーンなどがとても臨場感たっぷりで描かれていますが、殺伐とした感じは受けません。
それは同時並行で進む主人公の恋が甘酸っぱくて、思わずこっちまで赤面してしまう場面が多くあるからです。
この小説を人に説明するとしたら、「本を守る自衛隊みたいなものだけど、ほぼ恋愛小説」と言ってしまいますね。
宮廷神官物語シリーズ / 榎田 ユウリ
(角川文庫 全十二巻)
美貌の宮廷神官・鶏冠は国が乱れるときに現れるという奇跡の少年を大神官の密命で探し出すことになります。
ハシバミ村で出会った天青はやんちゃで気は強いのですが、根は優しい少年で共に苦難に耐え鶏冠は次代の大神官への道を歩み始めます。
作者の榎田 ユウリさんの特徴は、人間を人間らしく描くことです。魅力的で個性あふれる登場人物が多いこの作品、少し見方を変えれば誰が主人公でもおかしくありません。
私は読み終わってからも、不思議な能力を持ち白虎を連れているにも関わらず、主人公は天青ではなく鶏冠だと思い込んでいました。
レビューを見ていると韓国風なことに嫌悪感を抱いている方もいましたが、私は韓流ドラマが好きなせいもあり特に気になりませんでした。
守り人シリーズ / 上橋 菜穂子
(新潮文庫 全十三巻)
以前にも同じ作品を紹介したので、こちらの記事をご覧いただければ嬉しいです。
十二国記シリーズ / 小野 不由美
(新潮文庫 現在十五巻まで発売中)
神仙や妖魔が存在し、麒麟に選ばれた王が統治する十二国の物語。
こちらは読む時間より発売を待ってる時間のほうが長いという読者泣かせの作品です。1991年に第一弾である「魔性の子」が新潮文庫で発売され、いまだに十二国記としてはシリーズの完結を迎えていません。
新潮社、講談社X文庫ホワイトハート、講談社文庫など、出版社を転々としていますが現段階で購入するなら新潮社の完全版ですね。
この作品は登場人物や時代、背景などが緻密に練られていて、物語やそれらを表現する文体には重厚感があります。男女・年齢に関係なく楽しめる作品だと思いますが、読書に軽さを求める方には向かないと思います。
そしておすすめの理由に、2019年に発売された「白銀の墟 玄の月」で、長く続いた(発端は「風の海 迷宮の岸」1993年)戴国編も決着を見せていることもあります。
私は慶国が好きなので我慢できましたが、戴国派の方は続きが気になって仕方がなかったと思います。発売が発表されたときは狂喜乱舞だったのではないでしょうか。
出版社や書店のフェアも大々的に催され、やっぱり人気作だと窺えます。
新潮文庫では「魔性の子」が一番最初に紹介されているのですが、こちらの作品は「風の海 迷宮の岸」の後に読んだほうがより楽しめると思います。
流血女神伝シリーズ / 須賀 しのぶ
(角川文庫 現在二巻まで発売中)
辺鄙な山奥で猟師の娘として育ったカリエは、雪の中で気絶させられ見知らぬ男に攫われます。
逃れることの出来ない城塞で彼女は病弱な皇子の身代わりとなり、次代の皇帝候補として振舞うことを余儀なくされ、陰謀と策略が渦巻く王座争いに彼女はどう立ち向かうのか?
どっぷり嵌まるのに二巻って…。こちら1999年に発売されたコバルト文庫の新装版なのですが、角川文庫での「帝国の娘」は序章にすぎません。コバルト文庫では本編二十二冊、外伝三冊、番外編二冊が発売されていますから。
私は電子書籍でコバルト文庫版を購入したのですが、表紙がない代わりに船戸 明里さんの挿絵が付いていたので満足です。※角川文庫に挿絵はありません。
2021年にコミカライズされているので認知度はあるようですが、角川文庫で続編が発売されるのかは謎ですね。
主人公のカリエは恋に憧れを抱くポジティブで明るい女の子ですが、その運命は過酷で何度も死に直面します。
誰かに守ってもらうのではなく自力で災難を脱するのですが、たとえ神の加護があり主人公は死なないと思っていてもよく生き延びたと思う体験の数々です。
そして特徴的なのは彼女と行動する男性陣の層の厚さ。王道である冷酷で美しい男性だけでなく様々なタイプが登場しますよ。それでも私は挿絵効果もあり一途にエドが好きでした。
内容にふれると神を扱っている物語なのですが、小難しくはなく少女漫画のようにさらっと読めます。
普段小説を読むのがそんなに速くない私でも一冊を二時間弱で読了できたので、わりと手が出しやすいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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