※本ページにはプロモーションが含まれていて、試し読みについてはeBookJapanから掲載しています。
今回、紹介するのは漫画家 川原 泉さん。
今思えば失礼な話ですが、遡る高校生時代に雑誌『花とゆめ』をよく買っていました。そこには、川原 泉さんも連載していたのですが、絵がお世辞にも上手いとは言えずコマや台詞が多すぎて、苦手意識のほうが強かったです。
その後、社会人になり雑誌を買わなくなってしまったのですが、知人から『銀のロマンティック…わはは』を借りる機会がありました。
※『銀のロマンティック…わはは』は、上記の文庫本に収録されています。
こちらは有名なバレエダンサーの父を持ちながら、身体能力はあるものの表現面でバレエの才能に恵まれなかった由良 更紗が怪我で引退したスピードスケートの選手 影浦 忍と出会い、フィギュア・アイスダンスのペアとして世界に羽ばたこうとするお話です。
女性の方が男性を力技で持ち上げたり回したり、男女逆転カップルという意表をつく展開が面白く、最後にはじんわり胸にせまるものがありました。
これがきっかけとなり、他の作品を買い集めるのは早かったですね。
※単行本ですでに発売されていない作品も、文庫に入っている場合があるので要チェックです。
川原 泉さんの作品の多くは、主人公が自分に劣等感を抱いていたり、家族を亡くし不幸な境遇に陥ります。いくらでも暗くできる設定なのに穏やかな明るさを感じるのは、彼女らののほほんとしながらも逞しく生きる姿が描かれているからでしょう。
笑う大天使(ミカエル)
(白泉社文庫 全2巻)
お嬢様・高校生・友情
史上最強の名門お嬢様学校に通う猫かぶりのお嬢様、斎木 和音と更科 柚子。訳ありの旧伯爵令嬢 司城 史緒が転校してきたことで、息詰まりだった学校生活でのかけがえのない友達になり、巻き起こる騒動に3人で果敢にも立ち向かっていきます。
和音さんには父親の秘書で彼女のお世話係の若月 俊介さん。柚子さんには担任のロレンス先生。史緒さんには生き別れて再会した兄の一臣さん。厳しくも温かく見守ってくれるイケメンの男性陣たち。
それぞれにちゃんとしたエピソードがあって、とくに柚子さんの『オペラ座の怪人』は号泣ものです。
この作品は彼女らの卒業式で幕を閉めるのですが、嬉しいけれど寂しいような複雑な気持ちで胸がいっぱいになります。
中国の壺
(白泉社文庫 全1巻)
高校生・家族・ファンタジー
高校生の安曇 志姫が亡くなった父から譲り受けたのは、先祖代々からある古い壺。
その中には、1300年前から住み着いた中国人 趙 飛竜がいるのですが、特別な力があるわけでもなく安曇家の人をただ見守るだけの存在です。
題名や表紙を見ると壮大な歴史ものなのかと思いますが、母親の再婚でぎこちない家庭環境に身を置く女子高生と壺の中の人との、のんびりした生活です。
ずっと壺の中にいる飛竜のことを想うと切ないけれど、志姫やこれからも続く安曇家の子孫たちと仲良く暮らしていくことを願うばかりです。
美貌の果実
(白泉社文庫 全1巻)
高校生・ワイナリー・恋愛
とあるグルメ評論家の賛辞を受けた、甲州にある独立ワイナリーを営む秋月家。世間から注目され忙しくなった、父兄は交通事故に巻き込まれ命を落としてしまいます。
途方にくれている母と娘の菜苗の前に、どこから現れたのか葡萄野 精(実は精霊)と名乗る美青年が手伝いたいと名乗りをあげます。名前からして怪しいのに気にしない大らかさや、また商談相手の親子のいざこざに巻き込まれるお人好しさ。
そして、ワイナリーという設定を最大限に生かしたストーリーがとても良いです。
他にも紹介できなかったのですが、『架空の森』、『大地の貴族』、『愚者の楽園』なども好きです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント