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この記事は一か月間に読んだ本を簡単な感想と共に紹介しています。あくまで個人の意見なので作者の意図やあなたと違ったとしても気にしないでくださいね。
本選びの参考になれば嬉しいです。
:小説
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー / ブレイディ みかこ
(新潮文庫)
英国・中学生・差別
著者ブレイディみかこさんの息子が通う多様性あふれるイギリスの公立中学校での日常を描いたエッセイです。人種や階級、貧困などの社会問題に直面しながらも、息子が仲間たちと成長していく姿を、温かくユーモラスに綴っています。
日々の小さな出来事を通して、「違い」を理解し合うことの大切さが自然と伝わってくる作品だと感じました。
裕福ではない地域に暮らし、アジア系であることで差別される側に立つみかこさんは、過去の経験を踏まえながら、息子さんと率直に気持ちを語り合います。その中で語られる息子さんの意見があまりにも公平で、思わず深くうなずいてしまいました。
ずっと気になっていた作品だったので、読めて本当に良かったです。
フルーツパーラー『宝石果店』の憂鬱
/ 江本 マシメサ
(ポルタ文庫)
恋愛・スイーツ・トラブル
落ち込んだ帰り道、ネイリストの里菜は小さなフルーツパーラー「宝石果店」に迷い込みます。寡黙な店主・守屋はフルーツに詳しく、時折さりげなく法律の知識で里菜の悩みに助言します。季節の果物に癒やされながら、里菜は日常の小さな問題と向き合い、自分の気持ちを少しずつ整えていきます。ふたりの距離もゆっくりと変わり始めます。
恋で胸がきゅっとなる物語が読みたくなったら、有川 ひろさんと江本 マシメサさんの作品に手を伸ばすのが、私の定番です。
江本 マシメサさんの作品には、異世界・貴族・妖など幅広いジャンルがありますが、私は特に『北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし』や『長崎新地中華街の薬屋カフェ』『豆腐料理のおいしい、豆だぬきのお宿』のように、主人公が20〜30代の落ち着いた大人として描かれる物語に惹かれます。
わたしは告白ができない。 / 櫻 いいよ
(角川文庫)
高校生・ミステリ・青春
主人公の小夜子は、風紀部部長の睦月に想いを寄せながらも、告白しようとするたびに不思議なトラブルに見舞われてしまいます。ラブレターの紛失やメール不達、なりすまし告白など、まるで誰かに妨害されているかのような出来事が続きます。小夜子は混乱しつつも、自分の気持ちと向き合い、告白できない理由の真相に少しずつ近づいていきます。
この作品は、風紀部に持ち込まれる依頼を解決する学園ミステリです。小夜子が告白できないのはタイミングの問題なのですが、片想いの相手の睦月がわかっていてはぐらかしている感があってもどかしいです。
すんなり上手くいかないところが青春なのかな?
:漫画
いきものがたり 1 / 松本 ひで吉
(モーニングコミックス)
動物・生態・うんちく
松本 ひで吉さんが、カモノハシやウズラ、イカ、レッサーパンダなど多彩ないきものを、愛情たっぷりに語るエッセイ風漫画です。可愛い・奇妙・カッコイイなどテーマ別の小話も盛り込み、読めば思わず「動物っていいよね」と感じられます。
JR西日本のICOCAキャラクターとしておなじみのカモノハシから始まり、ラッコで締めくくられる構成も心地よく、知っている動物の新しい一面に驚いたり、「こんなの本当にいるの?」と笑ってしまったり、誰かに話したくなるエピソードが満載です。
作者の “好き” がそのまま伝わってくる温度感があり、大人も子供も、動物がちょっと好きな人もとびきり好きな人も、みんなで楽しめる作品です。
いってらっしゃいのその後で 転がり続ける毎日編
彼女はNOの翼を持っている
/ ツルリンゴスター
(コミックエッセイ)
コミックエッセイ・家族・生活
三人の子どもが小学生になった家族の日常を描くツルリンゴスターさんのコミックエッセイです。引っ越しや転校、著者の働き方の変化など、生活の転換期に生まれる戸惑いと喜びを、あたたかくユーモラスに綴っています。子育ての悩みや小さな成長が、やさしい筆致で描かれています。
お母さんとしての見た目は、明るくはっちゃけた印象があるものの、子どもたちに向き合う姿勢はとても真面目で、生活の基本や人として大切なことをしっかり育てているのが伝わってきます。
同作者の『彼女はNOの翼を持っている』を読んだときには、本作の延長線上にある “生活の中の強さと優しさ” が、より柔らかく、より身近に描かれているように思いました。
高校生・思春期・アイデンティティ
高校生の翼は、学校で一つ年上の先輩・海浬が落としたコンドームを拾ってしまいます。気まずさをごまかそうとする海浬に、翼は「袋のまま鞄に入れてはだめですよ」と伝えます。まわりに合わせてNOと言えない海浬と、自分と他者のNOを大切にする翼。対照的なふたりとそれを見守る大人たちが紡ぐ、NOをめぐる物語です。
生理や避妊、性に関する正しい知識の大切さ。自分の意思を尊重し合うことで築かれる健やかな人間関係。そして多様性へのまなざし。この物語は、日常の中にある「気づき」で、読む人に新しい学びと安心を届けてくれます。
軍人婿さんと大根嫁さん 1~5
/ コマkoma
(FUZコミックス)
田舎・結婚・軍人
農家の娘・花と軍人の誉が、祝言の日に初めて出会うところから始まる心温まる物語です。ぎこちない二人が少しずつ距離を縮め、互いを思いやる姿がしっとりと描かれています。
『波うららかにめおと日和』を読んでいたときにおすすめとして紹介されていた作品で、四コマ漫画とは思えないほど想いがぎゅっと詰まっていました。
家族に疎外され、戦争で深い傷を負った誉さんは、どうしても暗い方向へ沈みがちです。それでも、花のまっすぐな優しさに触れるたび、少しずつ救われ、愛すべき人へと変わっていく。その過程がとても丁寧で胸に残ります。
表紙では30代半ばくらいに見える誉さんが、実は意外と若かったというギャップもまた魅力のひとつです。
大正學生愛妻家 1~2 / 粥川 すず
(モーニングKC)
夫婦・身分の差・年齢の差
ふきは父の借金で婚約が破談となり、昼は橘家で女中、夜は内職に追われて暮らしています。そこへ帝国第一高校へ進学するため六年ぶりに帰京した子息・勇吾が現れ、伯父の命じる “条件の良い嫁探し” の一環として、彼女に結婚を申し込みます。
条件付きの結婚だと思っていたはずなのに、子どもの頃から想い続けてきた勇吾のふきへの気持ちが隠れていたり、戸惑いながらも彼の求婚を受け入れたふきが少しずつ勇吾に惹かれていく過程に、とにかく純度が高くて胸がきゅっと締めつけられます。
愛らしい二人の姿に、思わずタブレットを持つ手にも力が入ってしまいます。
波うららかに、めおと日和 1~8
/ 西香 はち
(コミックDAYSコミックス)
夫婦・海軍・暮らし
昭和11年の春、二十歳のなつ美のもとへ、海軍に勤める瀧昌との縁談が訪れます。戸惑いを抱えたまま始まった新婚生活は、家のことも男女のことも手探りの二人が、少しずつ心を寄せ合いながら歩む穏やかな日々です。
先月から始まった地上波ドラマでは、まるで少女漫画のように胸が高鳴るシーンが続きますが、原作はもっと落ち着いた筆致で描かれています。
物語では、二人で過ごす時間だけでなく、瀧昌の海軍での仕事や、留守を守るなつみの日常にも丁寧に目を向けながら進んでいきます。派手さはないものの、その静かな積み重ねが心に沁みて、私はむしろ原作のこの雰囲気の方が好きです。

今月のおすすめは、
粥川 すずさんの『大正學生愛妻家』です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。また、来月の記事でお会いしましょう!




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