2026年05月 一か月間に読んだ本と感想まとめ【Audible・小説・漫画】

読書記録

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この記事は一か月間に読んだ本を簡単な感想と共に紹介しています。あくまで個人の意見なので作者の意図やあなたと違ったとしても気にしないでくださいね。

本選びの参考になれば嬉しいです。

 

[今月の新着記事]

 

:Audible

ツバキ文具店 / 小川 糸

鎌倉・手紙・丁寧な暮らし

『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』『椿ノ恋文』

鎌倉で文具店を営む雨宮 鳩子は、亡き祖母の跡を継ぎ、手紙の代書屋として依頼人の思いを言葉にして届けていきます。遺言状や縁切り状など、さまざまな事情を抱えた人々と向き合う中で、鳩子自身も祖母との記憶や過去の痛みと向き合い、少しずつ心を開いていきます。

本でシリーズ二作目の『キラキラ共和国』を誤って買ってしまい、一作目がAudibleにあると知って聴いてみました。

朗読が女優の多部 未華子さんだと目にしたときは、可愛い声が物語に合うのか少し不安でしたが、聴くほどに癖になります。一冊目だけで別の声優さんに変わってしまうのが惜しいほどでした。

鎌倉での丁寧な暮らしがじんわり染み渡ります。鳩子が手紙を書くたびに、誰かの想いに触れ、その人の背景ごと大切にしていく姿が素敵だと思いました。

 

バニラな毎日 / 賀十 つばさ
(幻冬舎文庫)

パティシエ・スイーツ・悩み

『バニラな毎日』『バニラなバカンス』

閉店が決まった洋菓子店で、店主と常連マダムが “悩みを抱えた人だけ” を招くお菓子教室を始めます。踏み出せない会社員にはタルトタタン、心配性の母にはイートン・メス、失恋続きの男性にはザッハトルテ。甘いレシピを通して悩みにそっと寄り添い、人生を前へ進める力をくれます。

物語やナレーターの声がしっくりこず、しばらくさまよっていたときに、ふと岸本 百恵さんの声を思い出し、この作品にたどり着きました。

以前に賀十 つばささんの作品を読んだときはどこか物足りなさを感じていたのに、今回はストーリーのテンポと登場人物のユニークさが絶妙に噛み合っていて、とても賑やか。

寝る前に聴くと、一日の終わりがふわっと明るくなるような、楽しい気分で眠りにつけました。

 

:小説

ひとり旅日和 / 秋川 滝美
(角川文庫)

旅・OL・人見知り

人見知りで仕事に自信のない会社員・日和は、社長に勧められて気晴らしのひとり旅に出かけます。最初の熱海旅行で、美味しい食べ物や人との温かな触れ合いに心がほどけ、旅の楽しさに目覚めます。佐原や仙台、金沢など各地を巡るうちに、日和は少しずつ前向きさと自信を取り戻し、日常の景色も変わっていきます。

旅の醍醐味である観光やごはんの描写はとても魅力的で、読んでいるだけで旅に出たくなるような楽しさがあります。ただ、文章面では少し気になるところもありました。

特に、主人公の日和が “人見知り” であることを強調したいあまり、作中に同じ言葉が何度も登場します。小説では、行動や表情、心の揺れを通して性格が自然と伝わるものなので、言葉で繰り返し説明されると、かえって作者の技量が十分に発揮されていないように感じてしまいました。

 

雲雀坂の魔法使い / 沖田 円
(実業之日本社文庫)

魔法使い・お店・相談

少女のような風貌をした魔法使いのは、雲雀坂の片隅で小さな魔法店を営んでいます。店を訪れるのは、孤独や後悔、言葉にできない痛みを抱えた人々。は彼らの胸の奥に眠る「真実」をそっと感じ取り、失われかけた希望へと導いていきます。

のそっけない喋り方や態度の裏に見え隠れする優しさが魅力的に描かれていました。

短編形式で中には死を扱った作品もあるのですが、重くならずさらっと描き切っていて爽やかな読後感を感じました。

 

麦の国のスープ暦 / タカナシ
(富士見L文庫)

令嬢・スープ・出会い

《山の国》の公爵令嬢ヴァレリアは王太子妃になるはずだったのですが、王太子と恋仲になった妹の策略で処刑されかけます。麦の国の青年アルバに救われ、小さなスープ店で“シーナ”として働き始めます。温かな料理と人々の優しさに触れ、傷ついた心が少しずつ癒えていきます。

物語や人物の背景に深みを持たせる余地はありますが、今回はさらっと読める軽やかさが心地よく、今の気分にはちょうど良い一冊でした。文章もすっきりしていて読みやすかったです。

 

リアスの子 / 熊谷 達也
(光文社文庫)

教師・中学生・青春

東北の港町に赴任した若い教師・岩渕 和也は、家庭に問題を抱えた転校生・早坂 希の担任になります。素行や噂で孤立する希でしたが、和也は朝のジョギングに励む彼女の姿を知り、陸上部への入部を勧めます。反発しながらも走ることで自分と向き合い、少しずつ心を開いていく。三陸の風景の中で、教師と生徒が信頼を築いていきます。

題名から震災や復興の話を想像していましたが、物語はその予想をやさしく裏切ってくれました。思春期の揺れ動く生徒たちを、教師たちが温かいまなざしで見守る姿が印象的で、最後まで心地よく読み進められました。

 

:漫画

ドベとノラ 4 犬と家族に / ヨシモフ郎
(コミックエッセイ)

エッセイ・犬・温かい

戦時中に動物を家畜として扱ってきた“動物嫌い”の父に反対され、犬を迎えることを諦めていた主人公。しかし、親戚の老犬シロじいを預かったことで自信と勇気が芽生えます。動物と家族になる特別さ、もし愛犬を残して逝くとしたら…という問いが胸に迫ります。ゴールデン・レトリバー三きょうだいとの思いがけない事件も収めた一冊です。

犬を飼う責任と覚悟を貫くヨシモフ郎さんは、いわゆる “無責任に見える” 飼い主にも真っ向から向き合います。

その姿に、思わずこちらがヒヤヒヤしてしまう場面もありますが、どんな事情があっても犬が不幸になる選択は間違いだと気づかされます。

 

 

今月のおすすめは、

賀十 つばささんの『バニラな毎日』です。