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この記事は一か月間に読んだ本を簡単な感想と共に紹介しています。あくまで個人の意見なので作者の意図やあなたと違ったとしても気にしないでくださいね。
本選びの参考になれば嬉しいです。
:小説
暗号解読士 九條キリヤの事件簿
/ 桜川 ヒロ
(小学館文庫)
暗号・コンビ・ミステリー
暗号解読士・九條 キリヤが、新米刑事の七瀬 光莉とともに難事件へ挑む物語です。天才的な数学センスで暗号を解くキリヤは、人との距離を置きながらも、暗号に込められた思いを読み解いていきます。捜査中の襲撃で負傷しながらも、彼が探し続ける〈最期の言葉〉の真相に迫るミステリーです。
桜井 ヒロさん目当てで手に取った作品ですが、殺人事件が絡むわりに “気味の悪さ” が必要以上に残らず、テンポよく読めました。考えるより先に身体が動く光莉と、冷静でどこか塩対応なキリヤ。この対照的なふたりの掛け合いが小気味よく、ページをめくる手が止まりません。
黄金旅程 / 馳 星周
(集英社文庫)
競馬・日高・感動
北海道浦河で引退馬を世話する装蹄師・平野 敬は、荒い気性で扱いが難しい名馬エゴンウレアに秘めた才能を感じ取ります。彼は、過去の罪で騎手を離れていた幼馴染・和泉 亮介の力を信じ、騎乗を託します。調教を重ねる中でエゴンは自ら走ろうとする意志を見せ始め、人々は二勝馬からの飛躍を願いながら、その成長を見守っていきます。
『風の向こうへ駆け抜けろ』を読んでから馬という存在がぐっと近くなり、気づけば競馬番組をよく観るようになりました。
その世界に触れるほど、馬が儚く命を落としてしまう現実や、生産者の方々の厳しい経営状況、そして一頭の強い馬を育て上げることの難しさが、胸の奥に重く、確かに響くようになりました。
主人公が装蹄師という立場だからこそ、物語は常に “人を通して馬を見る” 視点で進んでいきます。その積み重ねの先で迎えるラスト、エゴンウレアがゴールを駆け抜けた瞬間は、主人公の想いが重なって胸が震えるほどでした。
しかも後で知ったのですが、エゴンウレアのモデルは実在の名馬ステイゴールドだそうです。その事実を知ると、物語への愛着がさらに深まります。
人形の部屋 / 門井 慶喜
(創元推理文庫)
専業主婦・博識・ミステリー
専業主夫の父と中学生の娘が、日常の小さな違和感から “食卓ミステリ” を繰り広げる連作作品です。砕けたフランス人形をきっかけに、父が雑学と観察力で謎を解き明かしていきます。親子の距離感や家族の温かさも丁寧に描かれ、穏やかな読後感を味わえる物語になっています。
もともと賢い父親が、雑学という “もうひとつの視点” を得て最強になっていく過程も痛快で、思いもよらない方向から真相が覆される展開には、知識として腑に落ちる気持ちよさがあります。意外性と納得感が同時に訪れる、その読書体験がとても楽しかったです。
BAR追分
オムライス日和 BAR追分
情熱のナポリタン BAR追分 / 伊吹 有喜
(ハルキ文庫 )
グルメ・脚本家志望・人付き合い
ねこみち横丁振興会の管理人をしながら脚本家を目指す宇藤 輝良が住むのは、昼はコーヒーや定食を提供するバールで、夜はお酒を提供するバーの「BAR追分」。お店や商店街、お客さんたちと過ごす日常です。
カレーのトッピングが尽きることなく議論されたり、オムライスにかけるソースで真剣に悩んだり、粉もんの王様を選んで盛り上がったり。「自分ならこれだな」と思いながら読んでいると、斜め上をいく宇藤くんの回答に思わず突っ込みたくなる。そんな他愛ないことで夢中になれる空気が、この物語のいちばんの魅力でした。
宇藤くんは自分のことを “中途半端で駄目な奴” だと思い込んでいるけれど、周りから見れば、礼儀正しくて、才能があって、夢に向かって歩き続ける好青年。その所作の美しさや、ふとした優しさに触れるたび、「なんてもったいない人なんだろう」と感じずにはいられませんでした。
:漫画
うちのちいさな女中さん 6 / 長田 佳奈
(ゼノンコミックス)
昭和初期・女中・女主人
昭和9年、季節が移り変わる東京で女中のハナは初風の中、本の蟲干しや布団の仕立て直しに励んでおります。ある日、道端で出会った少年からお八つ会に招かれ胸を弾ませながら向かうと、思いがけない出来事が待っているのでした。
日差しの強さや額ににじむ汗から、夏の季節をひしひしと感じます。
秋冬の布団の仕立て直しまで女中の仕事なのだと知り、思わず驚きました。ハナちゃんが先輩女中に教わったことを自分の技術として身につけ、新しい勤め先の家で責任をもってやり遂げる姿には、胸が熱くなるほど感動します。
カラフルアンチノミー 2
/ シバタ ヒカリ
(FEEL COMICS swing)
マッチングアプリ・女子会・考察
マッチングアプリをきっかけに、文は須良・すず・水島という個性豊かな3人と出会い、不思議な縁に導かれていきます。彼女らと過ごす時間の中で、自分との向き合い方に少しずつ変化を感じ始めた文は、その勢いのままマッチした男性とのデートに踏み出します。
人にはそれぞれ合う・合わないがあり、合わない相手を全否定するのではなく、「自分には合わなかっただけ」と受け止められるようになりたいと思いました。
すずさんの幼い息子・直生くんが、文の「自分に合う靴を探している」という例え話に対して、自分の靴を差し出す場面は、胸がきゅんとするほど純粋で温かい瞬間でした。
自分の在り方や人との距離感に迷うとき、この物語は優しく手を差し伸べてくれるはずです。
正反対なわたしたち 4 / 夏奈 ほの
(comic POOL)
恋愛・犬・ほのぼの
神楽 千遥と辻井 聖貴は、大型犬と小型犬という違いを超えて犬友として距離を縮めていきます。そんな中、イケメンドッグカメラマンのオリバーが現れ、関係に小さな波紋が広がります。ドッグイベントで再会した二人は、愛犬たちに囲まれながらもどこかぎこちなく、にぎやかな会場で胸の高鳴りを感じます。
相変わらずワンちゃんたちは愛らしくて、見ているだけで心がほどけます。飼い主たちの恋も順調に育っていて、まるで日常そのものが優しく満ちているようです。
ダセェと言われた令嬢の華麗なる変身 1~4 / 甘海老 りこ・美輪 伊織
(クロフネCOMICS くろふねピクシブシリーズ)
令嬢・恋愛・可愛い
田舎育ちのクララベルは婚約者アランを追って貴族学園に入学しますが、早々に浮気現場を目撃して心を砕かれてしまいます。涙する彼女を慰めたのは第三王子の婚約者ヴィクトリアで、彼女に導かれた生徒会室で美形だが口の悪いロイドと出会います。
クララベルが「私なんて…」と弱気になるのは最初の一話だけ。小動物のように愛らしい容姿と、誰からも好かれる素直さ、そして前を向いて行動できる強さがある彼女なら、うまくいかないはずがありません。
恋人であり未来の旦那さまになるロイドの、不器用ながらもクララベルを大切に思う姿も微笑ましい。ふたりの距離が少しずつ近づいていく、その温度の変化が読んでいてとても心地よいです。

今月のおすすめは、
馳 星周さんの『黄金旅程』です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。また、来月の記事でお会いしましょう!




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