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この記事は一か月間に読んだ本を簡単な感想と共に紹介しています。あくまで個人の意見なので作者の意図やあなたと違ったとしても気にしないでくださいね。
本選びの参考になれば嬉しいです!
:小説
荒木町奇譚 / 有間 カオル
(ハルキ文庫)
花街・夢現・ノスタルジー
四谷荒木町は、かつて花街として栄えた面影を残す大人の街です。仕事で訪れた行原 暁生は、謎めいた芸者に導かれ、時が止まったような花街へ迷い込みます。元の世界へ戻る術を探す中、不思議な人々との出会いを通して、自分の過去と向き合うことになります。
客として訪れたはずの行原が、いつの間にか置屋の下働きへと堕ちていく姿を見ていると、「この先どうなってしまうんだろう」とつい気になってしまいます。
物語の中をふわふわと漂っているような、ちょっとお酒を飲んだときの気怠さにも似た、独特な感覚に包まれる作品でした。
銀の猫 / 朝井 まかて
(文春文庫)
江戸・介護・人情
離縁され母と暮らすお咲は、年寄りを支える介抱人として誠実に働いています。長寿の江戸では寝付く老人も多く、介護に疲れる家族も少なくありません。貸本屋から「介抱指南」作りを頼まれたお咲は、病人との出会いを通して逝く人の思いを胸に刻みますが、母への絶望が心を揺らし、自分は看続けられるのかと悩みます。
介護の仕事って、本当にいろいろ大変ですよね。お年寄り本人や家族とのトラブルもあるし、心が折れそうになることも多い。でも、そんな中でもお咲がちゃんと喜びややりがいを見つけて頑張ってるのがすごく良かったです。
彼女を見てると、結局どんな時代でも、人と関わるうえで大事なのは “思いやり” なんだなって思わされます。分かってても、いざやるとなると難しいんですけどね。
傑作はまだ / 瀬尾 まいこ
(文春文庫)
父と息子・小説家・日常
50歳の引きこもり作家・加賀野のもとに、生まれてから一度も会ったことのない25歳の息子・智が突然訪ねてきます。孤独な生活に慣れた加賀野と、人付き合いが得意な智。血の繋がり以外に接点のない二人が、ぎこちなくも同居生活を始める中で、少しずつ距離を縮めていきます。
常識人の智が、大福の盛り付けからコーヒーの淹れ方、自治会の大切さ、人との距離感まで、世間知らずな父にそっと教えていく。その言葉を、反発することなく乾いたスポンジのように素直に吸い込んでいく父の姿が、なんとも愛おしい。二人のやり取りを見守る時間が、読んでいて本当に心地よかったです。
智の名前が「さとし」なのか「とも」なのか分からず、思わずルビが欲しくなる場面もありましたが、最初から最後までずっと面白く、ページをめくる手が止まりませんでした。
私の中では、同作者の『そして、バトンは渡された』を超える読書体験になりました。
三宮ワケあり不動産調査簿 賃貸マンション、怪談つき / 秋田 みやび
(富士見L文庫)
大学生・アルバイト・ホラー
神戸三宮にある兄・陸生の「高比良不動産鑑定事務所」で働き始めた茅夏ですが、そこは実質 “霊的物件” 専門の鑑定事務所でした。受付担当の彼女は、訪れる奇妙な依頼に次々と巻き込まれていき、不思議な事件に向き合うことになります。
富士見L文庫らしく、まずは登場人物のキャラクターを楽しめたらいいなと思って読み始めたのですが、想像以上に “ちゃんとした” ホラーで、夜中に読んでいて思わずゾワッとしました。
秋田 みやびさんは今回が初読みでしたが、『ぼんくら陰陽師の鬼嫁』も気になっています。
:漫画
いってらっしゃいのその後で
/ ツルリンゴスター
(コミックエッセイ)
エッセイ・家族・成長
3人の子どもを育てるツルリンゴスターさんが、「こうあるべき」にとらわれない日常を描くコミックエッセイです。慌ただしい朝やひとり時間の小さな気づきを通して、家族との毎日を心地よく楽しむ姿を4年間にわたり綴ります。
さらりと核心に触れてくる作者の旦那さんが好きなのですが、途中から姿が見えなくなってしまって「もしや離婚…?」と勝手に不安になっていました。ちゃんと登場してくれてホッとしました。
ただ、作者が家族の “キラキラした部分” を描きたかったのだろうなというのは伝わるものの、少し綺麗にまとめすぎた印象もあります。
旅 /入江 亜季
(青騎士コミックス)
短編集・旅・盛りだくさん
入江 亜季さんの “旅” をテーマにした作品集。
濃い漫画が読みたい気分になって、入江 亜季さんの短編集を購入しました。『北北西に雲と往け』の作者さんなので安心感がありますよね。
旅をテーマにした13本の短編が収録されていて、どの話も絵の情報量がすごい。台詞がなくても状況がスッと伝わってくるのは、やっぱり入江さんならではだなと感じました。
読み応えもたっぷりで、期待していた “濃さ” をしっかり堪能できました。中でも10話「砂漠の田崎くん」と13話「トキの旅」は特にお気に入りです。
おじさんはカワイイものがお好き。 11 / ツトム
(ポラリスCOMICS)
イケおじ・推し・会社員
小路課長が、同僚の鳴戸さんや元妻の武林さんの推し活に刺激を受け、ひそかに「推しのテーマパーク」へ向かいます。仕事がデキるイケメン課長には、実はカワイイキャラ好きという秘密があり、誰にも言えない “おじかわ” 全開の姿を描くコメディです。
K-POPのJAMにどっぷりハマった武林さん。初登場の頃は可愛いものに冷淡だったのに、この巻ではJAMを模した動物キャラのフィギュアやグッズを爆買いしていて、思わず笑ってしまいました。
わかるんですよね。女性って、好きなものに対しては思い切りがいい。独身ならなおさら、自分の “ときめき” に全力投資できるわけで、悩むくらいなら買っちゃえ、ってなるあの感じ。
実は今月の私は、気になる電子書籍に3か月分のおこづかいをつぎ込んでしまって……。ページをめくりながら、「あれ、これ完全に私では?」と武林さんに自分を重ねていました。
おひとり様には慣れましたので。 婚約者放置中! 1~2 /晴田 巡
(comic LAKE)
貴族・恋愛・おひとり様
伯爵令嬢ニコルは、婚約者ケイオスが幼馴染の王女ばかり気にかけるため、学園行事も一人で参加する日々に慣れてしまいます。「相手が自由にするなら自分も好きにすればいい」と “おひとり様” を楽しみ始めますが、実は2人は両片想い。すれ違う想いがどう動くのかが見どころです。
吹っ切れた女性の強さって、見ていて気持ちがいいですね。おひとり様ライフを軽やかに満喫するニコルは、読んでいて頼もしさが際立ちました。
対照的に、ようやく事態の深刻さに気づいて慌てるケイオスの情けなさ…。女性に不慣れで、しかもニコルに本気の好意があったと知ると同情もするのですが、それでも「もっと早く動けばよかったのに」と思わずにはいられません。
それでも2人が巻き起こすドタバタは勢いがあって、多少のやり過ぎも含めてコメディとして楽しめました。

今月のおすすめは、
瀬尾 まいこさんの『傑作はまだ』です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。また、来月の記事でお会いしましょう!



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