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これから紹介する小説は、父と息子が一緒に過ごす時間の中で、気持ちを通わせていくお話です。
読んでいると、「家族ってこういうところから始まるんだよな」と、ふっとあたたかい気持ちになるのがたまりません。
[合わせて読みたい]
オー!ファーザー / 伊坂 幸太郎
(新潮文庫)
父親たち・高校生・事件
一人息子の由紀夫を守る四人の “父” は、ギャンブル好き、女好き、博識、スポーツ万能と個性豊かです。彼らに囲まれた高校生の前には、知事選や不登校問題、盗難事件など次々と出来事が起こります。多彩な声が重なり合い、思いがけない物語が立ち上がってきます。
個性豊かな “大人たち” が織りなす日常は、荒唐無稽なのにどこか心地よく、コミカルでクスッと笑わせてくれます。
ゆるく楽しい空気に浸っていると、終盤で突然物語が大きく跳ねて息をのむ展開へ。予想を軽々と裏切りながらも、読後には不思議な爽快感が残る一冊です。
傑作はまだ / 瀬尾 まいこ
(文春文庫)
小説家・フリーター・同居
引きこもり気味の作家・加賀野のもとへ、一度も会ったことのない25歳の息子・智が突然現れます。月10万円の養育費と写真だけでつながってきた二人は、戸惑いながらも同居を始めます。孤独に慣れた世間知らずの父と、近所付き合いも完璧な息子。血のつながりしかなかった二人が、少しずつ “家族” になっていく姿を描いています。
あまりにも世間を知らない父に対し、息子のほうが落ち着いていて、まるで立場が逆転したような関係。でも智の言葉には説明くささも偉ぶったところもなく、ただまっすぐで優しい。
そんな息子の言葉を、父が素直に受け止めていく姿がなんとも愛らしく、おじさんなのに思わず「可愛いなあ」と頬がゆるみます。
とんび / 重松 清
(角川文庫)
昭和・父子家庭・地域社会
瀬戸内海に面した備後市で、ヤスは愛妻・美佐子と息子アキラの成長を何よりの喜びとして暮らしていました。しかし、仕事場でアキラを庇った美佐子が突然の事故で命を落としてしまいます。深い後悔と孤独を抱えながらも、ヤスは不器用な言葉や過剰な愛情で空回りしつつ、懸命にアキラと向き合います。
ぶっきらぼうでも真っ直ぐで、時に鬱陶しがられながらも、周囲の温かな支えに助けられながら父として歩み続ける姿が胸を打ちます。
昭和の父親の不器用な愛が、いつしか愛おしく感じられる物語です。
流星ワゴン / 重松 清
(講談社文庫)
過去・ドライブ・後悔
永田 一雄は、仕事を失い家族も離れ、父の見舞いで受け取る “お車代” の残りで暮らすほど追い詰められていました。酔って駅前を歩く彼の前に、事故死したはずの橋本親子の車が現れ、誘われるまま乗り込むと、車は一雄を人生の分岐点へと連れ戻します。降り立った先で、一雄は38歳の頃の父と再会し、崩れかけた家族や自分自身と向き合う不思議な旅が始まります。
読んでいると、自分の人生のほころびまでそっと撫でられるようで、「あの時の自分も誰かを傷つけていたかもしれない」と思わず立ち止まります。
なかでもチュウさん(過去の父親)の飾らない言葉は、親の愛情そのものの温度で胸に染み込み、自分が受け取れなかった優しさを思い出させてくれます。
ワーキング・ホリデー / 坂木 司
(文春文庫)
ホスト・小学生・転職
沖田 大和はホストとして働く最中、突然現れた小学生・進に「父」と呼ばれ、共同生活を求められます。戸惑いながらも受け入れた直後、店内での騒動により解雇されてしまいます。オーナーの紹介で配送会社「ハニービー・エクスプレス」に転職しますが、与えられたのはまさかのリヤカーでした。不安を抱えつつも、進の存在を胸に新たな一歩を踏み出す覚悟を固めます。
ホストを辞め、宅配ドライバーへと転身した大和と、しっかり者の進。短気で不器用な父と、年齢のわりに落ち着いた息子という対照的な二人が、ぶつかり合いながらも少しずつ距離を縮めていく姿が微笑ましいです。
周囲の人たちも温かく、二人のぎこちない “親子の夏” をそっと支えてくれ、 ドタバタしつつも愛おしい父子の同居生活に、最後までほっこりさせられます。



