大切な人の死を描く泣ける感動小説【おすすめ5選】

小説

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ハッピーエンドが好きな私にとって、 ”大切な人の死” を描く物語はできれば避けたい存在です。

それでも、お気に入りの作家の新作や話題の本が目の前にあると、どうしても手を伸ばしてしまいます。読み終えたあと、枕を濡らすほど泣いてしまい、しばらくは気持ちが沈んで後悔するのに、時間が経つと「やっぱり良い小説だった」と思えて、誰かに勧めたくなる。

人の心って、本当に不思議ですね。

 

 [合わせて読みたい]

 

つばさものがたり / 雫井 脩介
(角川文庫)

パティシエール・病気・天使

重い病を抱えながら北伊豆で小さなケーキ屋を開いたパティシエール・小麦が、家族に支えられながら夢を追い続けます。甥っ子の “天使の友達” レイとの出会いや、不思議な出来事を通して家族が再び歩き出す優しい奇跡が紡がれます。

この物語は、最初から最後まで現実を描いています。天使が現れて病が消えることも、劇的な奇跡が起こることもありません。それでも、小麦は自分の人生を諦めず、痛みや不安を抱えながらも、選んだ道をまっすぐに歩こうとします。その姿のなんと強く、美しいことか。

思い返すたびに、私自身も「このまま何も変わらない日々でいいのだろうか」と、問いかけられているような気持ちになります。

そしてこの作品を思い出すとき、私はいつも、小麦が念願の自分の店で、家族やスタッフに囲まれながら楽しそうにケーキを作っている姿を想像してしまいます。きっとその瞬間こそ、彼女がいちばん輝いている時なのだと感じるからです。

彼女の笑顔は、奇跡ではなく “自分で選び取った未来” の証のように思えるのです。

 

彼方の友へ / 伊吹 有喜
(実業之日本社文庫)

第二次世界大戦・編集者・恋愛

老人施設でひとりまどろむ佐倉 波津子のもとに、「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」と記された小箱が届けられます。可憐な箱は七十余年の時を超え、戦前・戦中・戦後を情熱とともに歩んだ人々の思いを今に伝える贈り物でした。

戦争という過酷な時代に散りばめられた数々の別れが胸を締めつけ、読みながら何度も涙をこらえました。

波津子を編集者として見るか、有賀主筆に恋する女性として見るかで物語の色合いが変わり、二度目の読書ではきっとまったく違う感情が芽生えると思います。

それでも、彼女の生涯を貫く “強さ” と “勇気” 、そして “愛することの尊さ” は揺るぎません。まるで映画を観ているみたいに、心に残る一冊です。

 

博士の愛した数式 / 小川 洋子
(新潮文庫)

家政婦・出会い・数学

博士の記憶は80分しか続かず、家政婦とその息子は、毎日 “初対面” として彼に迎えられます。博士の袖に留められた古びたメモは、彼が世界とつながるための唯一の糸口であり、その小さな紙片に寄り添うように、三人の関係は少しずつ温度を帯びていきます。

数式そのものは難しくて完全には理解できないのですが、互いを思いやり、大切にしようとする気持ちは、まっすぐ胸に届きました。言葉や数字よりも確かに、三人の心が触れ合っていくのが伝わってきます。

こんな穏やかな時間がずっと続けばいいのに…。そう願ったからこそ、終わりが訪れる瞬間の切なさが胸の奥でそっと疼きました。温かさと寂しさが同時に押し寄せる、忘れがたい読後感です。

 

君の膵臓をたべたい / 住野 よる
(双葉文庫)

同級生・病気・恋愛

高校生の僕は、ある日病院で「共病文庫」という文庫本を拾います。それはクラスメイトの山内 桜良が密かに綴っていた日記で、彼女が膵臓の病により余命わずかであることが記されていました。静かに胸へ沈んでいく事実に戸惑いながらも、彼女の言葉に触れたことで、僕の日常はゆっくりと変わっていきます。

死を目前にした彼女に振り回される。そんな物語は決して珍しくありません。けれど、『君の膵臓をたべたい』はその中でもひときわ心に残る作品だと感じます。それは「泣ける小説」として広く知られているにもかかわらず、実際に読んでみると、その評価がただの噂ではなく、読者自身の実感として胸に落ちてくるからです。

どの年代の方にもおすすめできますが、とくに主人公と同じ目線に立てる若い読者には、より深く響くものがあるはずです。

生きること、誰かと関わることの重さと温かさを、まっすぐに受け取れる年代だからこそ味わえる読後感があります。

 

旅猫リポート / 有川 浩
(講談社文庫)

猫・旅行・別れ

野良猫のナナは、瀕死の自分を救ってくれたサトルと共に穏やかな日々を過ごしてきました。五年後、サトルはある事情からナナを手放さざるを得なくなり、銀色のワゴンで “最後の旅” に出ます。懐かしい人々や美しい景色に触れる中で、サトルの秘めた想いが少しずつ明かされていきます。

ナナサトルだからこそ生まれる距離感や信頼があまりに自然で、気づけば一人と一匹の関係そのものに羨ましさを覚えていました。

旅の終わりが別れだと思うと、どのエピソードも胸に沁みて、ページを閉じるのが惜しくてたまりませんでした。猫好きかどうかに関わらず、きっと心を揺さぶられる物語です。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。また、次回の記事でお会いしましょう!

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